❶ 前立腺肥大


前立腺肥大症 排尿トラブル

 前立腺とは、尿道を取り囲んでいる器官です。そして高齢男性によく現れるのが、前立腺肥大症です。

 前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、スムーズな排尿が妨げられます。

 

 症状として、尿の出始めに時間を要す。尿が細くちょろちょろとしか出ない。尿が飛び散り便器を汚す。その他、残尿感、頻尿、夜間多尿などがあります。

 頻繁に尿意をもよおすわりに、尿がスッキリ出ず、何とも憂鬱な病気です。

前立腺肥大症 尿漏れ 排尿困難

 漢方では、膀胱に溜まった尿をスムーズに排泄させる働きを、腎と膀胱の気化(きか)と呼びます。加齢や慢性病などで、この気化作用が衰えると、尿の排出力も弱まります。

 

 一連の排尿トラブルは、精力減退などと並び、漢方では主に 腎虚(じんきょ)の周辺症状ととらえます。

 

 漢方薬を上手に活用することで、体の基盤の「腎」を下支えし、排尿トラブルも改善できます。

 と同時に、補腎薬の長期服用は、加齢のスピードを緩め、脳や足腰も含め、全身のアンチエイジングに役立ちます。

❷ 精力減退


 漢方では、生殖機能は「腎」がつかさどると考えます。男女問わず、40歳前後になると、腎のエネルギー(腎気)が衰え始め、生殖能力の低下とともに、性欲が起こりにくくなります。

 

 一方、性欲はあっても、ED(勃起障害)や不感症のように、機能が及ばない悩みも少なくありません。

 このような状態を、漢方では 腎精不足(腎虚) と言います。

 

 腎虚は一般に、短期間で起こるものではありません。長い年月を経て、徐々に衰え進行する為、回復にも一定の時間を要します。

 一時的に体の陽気を煽り、精力だけを奮い立たせる薬剤を用いても、根本的な改善にはなりません。

 場合によっては、繰り返しの服用で、時に腎本体(腎陰や腎精)を損傷させることにもなります。 

 

 じっくり時間をかけ、性ホルモンの要でもある「腎精」を滋養することが大切です。

 現場では、胃腸などへの負担に配慮しながら、主に植物生薬や、動物由来の 「補腎薬」 が繁用されております。